タンク内の液面の高さを測定する方法として、差圧式レベルというものがあります。差圧式レベルとは、タンク底面にかかる圧力と液面の高さの関係を利用して、液面の高さを測定する方法です。この記事では、差圧式レベルの原理や種類、選定方法と注意点について解説します。
差圧式レベルの原理
差圧式レベルの原理は、液体が入っているタンクで、液体の比重が一定であれば、基準面(タンク底面)にかかる圧力は液面の高さに比例するということです。よって、この圧力を測定することでタンク内の液面の高さを測定することが可能になります。ただし、内圧のあるタンク内の液体のレベルを測る場合は内圧の影響をキャンセルする必要があるため、差圧測定が必要になります。この原理を利用したのが差圧式レベルです。
差圧式レベルの種類
差圧式レベルには、主に以下の3種類があります。
- 開放タンクの場合
- 密閉タンクの場合(ドライレグ)
- 密閉タンクの場合(ウェットレグ)
それぞれの特徴と適用例を説明します。
開放タンクの場合
開放タンクとは、タンクの上部が大気に開放されているタンクのことです。開放タンクの場合、差圧式レベルは、一方でタンク内の圧力、もう一方で大気圧を測定し、大気圧分を差し引いて圧力を算出します。この方式は、大気圧の変化による誤差をキャンセルできるという利点があります。また、タンク底部にセンサを取り付けるだけで他に特別な工作が不要であるため、開放タンクで最も汎用的に使われます。開放タンクの例としては、水道水の貯水タンクや、油槽などがあります。
密閉タンクの場合(ドライレグ)
密閉タンクとは、タンクの上部が大気に開放されていないタンクのことです。密閉タンクの場合、差圧式レベルは、一方でタンク内容液、もう一方で導圧管で伸ばした先のタンク上部に繋げ、タンクの内圧を測ります。導圧管の内部にはドレンを蓄積しない方式であるため、ドライレグと呼ばれます。この方式は、タンク内圧の変化による誤差をキャンセルできるという利点があります。ただし、タンク液が気化して導圧管を通してセンサ側に液体として流入すると問題となります。密閉タンクの例としては、蒸気圧の高いタンクや、揮発性の低い液体を扱うタンクなどがあります。
密閉タンクの場合(ウェットレグ)
密閉タンクの場合、差圧式レベルは、一方でタンク内容液、もう一方で導圧管で伸ばした先のタンク上部に繋げ、タンクの内圧を測ります。導圧管の内部にはあらかじめタンク液か、気化しにくいシール液を蓄積する方式であるため、ウェットレグと呼ばれます。この方式は、タンク液が気化しやすい場合や、タンク液が腐食性や汚染性のある場合に適しています。ただし、導圧管内部に液体が満たされているため、センサ側の圧力がタンク側の圧力よりも大きくなります。そのため、計算上スパンはマイナスの範囲で行います。密閉タンクの例としては、揮発性の高いタンクや、腐食性や汚染性のあるタンクなどがあります。
差圧式レベルの選定方法と注意点
差圧式レベルを選定する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 液体密度:液体の密度が不均一だと正確なレベルを検出できません。泡をかむ場合や、汚れで密度が変化する場合には誤差が発生します。
- タンク内圧:開放タンクと密閉タンクで、差圧の取り方が変わります。また、密閉タンクでも液体に腐食性があるかどうかで、ドライレグ・ウェットレグかを選択します。使用用途に応じて判断します。
- 測定範囲:タンクの大きさによって、センサにかかる圧力や温度範囲が変わります。使用する測定範囲に合ったセンサかどうか確認する必要があります。
- 圧力の伝送:差圧伝送器本体まで導圧管にてプロセス圧力を伝えますが、導圧管内の液中にガスが溜まる、あるいは導圧管内の気体中にドレンが溜まるなどすると正確な圧力伝達ができず、誤差を生じます。使用上の注意が必要です。
- 配管の取り付け:導圧管の取り付け方によっても、測定精度に影響があります。導圧管は、タンクの底部と上部に水平に取り付けるのが基本です。また、導圧管内の液体の温度が均一になるように、断熱材やヒーターなどを使用することが推奨されます。
おわりに
差圧式レベルとは、タンク内の液面の高さを測定する方法の一つです。タンク底面にかかる圧力と液面の高さの関係を利用して、液面の高さを測定します。開放タンクと密閉タンクで、差圧の取り方が変わります。密閉タンクでは、ドライレグとウェットレグの2種類があります。差圧式レベルを選定する際には、液体密度、タンク内圧、測定範囲、圧力の伝送、配管の取り付けなどに注意する必要があります。差圧式レベルは、多くのタンクで使われている汎用的なレベル測定方法ですが、使用環境に応じて適切な方式を選択することが重要です。