バルブとは、流体の流れを制御するための装置です。バルブには様々な種類がありますが、その中でも樹脂系のバルブは耐薬品性や耐熱性などの特性が求められる環境でよく使用されます。樹脂系のバルブには、塩化ビニル樹脂(PVC)やポリプロピレン樹脂(PP)などの材質がありますが、今回はその中でもエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)という材質に注目してみましょう。
EPDMとは?
EPDMとは、エチレンとプロピレンというモノマーを主成分として、ジエンという第三成分を共重合させた合成ゴムの一種です。EPDMは、主鎖に二重結合を持たないため、耐熱性、耐老化性、耐オゾン性、耐候性に優れています。また、絶縁体としての電気的特性や、アルコールやエステルなどの極性の強い溶剤、硫酸やアルカリなどの無機酸に対する耐薬品性も高いです。一方で、耐油性には劣るため、油に触れる可能性がある場合は注意が必要です。EPDMの物性値は以下の表のようになります[1]。
物性 | 値 |
---|---|
硬度(デュロA) | 50~90 |
引張強さ(MPa) | 15.5~20.0 |
伸び(%) | 300~700 |
使用温度(℃) | -40~120 |
体積抵抗(Ω・cm, 25℃) | 1012~1015 |
EPDMがバルブの材質として選ばれる理由
EPDMがバルブの材質として選ばれる理由は、主に以下の3つです。
- 耐熱性、耐候性に優れているため、屋外や高温の環境での使用に適している。
- 耐薬品性に優れているため、水や薬液などの流体の流れを制御するのに適している。
- 油展性、充填剤添加性が高いため、材料コストを抑えることができる。
EPDMは、自動車や建築、電気などの分野で広く利用されていますが、バルブの材質としても優れた特性を発揮します。特に、水や薬液などの流体の流れを制御するバルブには、耐熱性や耐薬品性が重要な要素となります。EPDMは、これらの要求に応えることができる素材です。また、EPDMは、油展性や充填剤添加性が高いため、ゴム分を減らしても性能を維持することができます。これにより、材料コストを抑えることができるというメリットもあります。
まとめ
今回は、バルブの材質でEPDMが選ばれる理由について紹介しました。EPDMは、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、耐薬品性などの優れた特性を持つ合成ゴムであり、水や薬液などの流体の流れを制御するバルブに適しています。また、油展性や充填剤添加性が高いため、材料コストを抑えることができるというメリットもあります。EPDMは、樹脂系のバルブの材質として、オールマイティな素材と言えるでしょう。
参考文献