タンクの天板はなぜ鏡型なのか?その秘密に迫る!

 今回は、タンクや圧力容器の天板がなぜ鏡型になっているのか、その理由について解説します。

タンクや圧力容器とは、液体や気体を貯蔵したり、加工したりするための設備です。食品や化学、医薬品など、さまざまな産業に欠かせないものです。タンクや圧力容器の天板は、一般的には鏡餅のような半球形状になっています。この形状を「鏡板」と呼びます。

株式会社コスモテック様より参考http://www.cosmotech-co.com

 

 では、なぜ鏡板はこのような形状になっているのでしょうか?その理由は、主に以下の二つです。

  • 圧力に強いから
  • 材料費や重量を節約できるから

圧力に強いから

 タンクや圧力容器は、内部に高圧や高温の液体や気体を入れることがあります。そのとき、天板には内圧による荷重がかかります。この荷重に耐えるためには、天板の形状が重要です。

もし天板が平板だとしたら、内圧によって天板がへこむか、破裂するかの危険があります。これは、内圧が天板の中心に集中して、応力が大きくなるからです。応力とは、単位面積あたりにかかる力のことです。応力が大きいと、材料が変形したり、破壊したりしやすくなります。

一方、天板が鏡板だとしたら、内圧によって天板がへこむことはありません。これは、内圧が天板の全体に分散して、応力が小さくなるからです。応力が小さいと、材料が変形したり、破壊したりしにくくなります。

つまり、鏡板は平板よりも圧力に強い形状なのです。実際に、風船を膨らませると、どんな形でも最終的には丸くなります。これは、内圧が均等に分散し、安定した形になるからです。金属も同じ原理で、丸い形が圧力に最適な形なのです。

材料費や重量を節約できるから

 鏡板は、圧力に強いだけでなく、材料費や重量を節約できるというメリットもあります。これは、鏡板の方が平板よりも設計板厚を薄くできるからです。

設計板厚とは、天板の厚さのことです。天板の厚さは、内圧や材料の強度によって決まります。内圧が高いほど、材料の強度が低いほど、天板の厚さは厚くなります。天板の厚さが厚くなると、材料費や重量が増えます。

しかし、鏡板は平板よりも圧力に強いので、同じ内圧や材料の強度でも、天板の厚さを薄くできます。天板の厚さが薄くなると、材料費や重量が減ります。材料費や重量が減ると、コストやエネルギーの節約につながります。

  鏡板の方が平板よりも、設計板厚は半分、材料費は約3分の1、重量は約3分の1になります。これは、かなりの節約効果があることがわかります。

まとめ

 タンクや圧力容器の天板が鏡型になっている理由は、圧力に強いから、材料費や重量を節約できるから、という二つの理由があります。鏡板は、平板よりも応力が小さく、設計板厚が薄くできるという特徴があります。鏡板は、圧力容器の設計において、最適な形状と言えるでしょう。

以上が、タンクや圧力容器の天板が鏡型になっている理由についての解説でした。この記事が、タンクや圧力容器に興味のある方にとって、有益な情報になれば幸いです。ありがとうございました。