プラント設計におけるねじ込みの基礎知識と注意点

プラント設計におけるねじ込みのイラスト

 プラント設計において、ねじ込みという方法で配管を接続することがあります。ねじ込みとは、ねじ部品を用いて被締結体を固定する方法の一種で、溶接やフランジと比べて、以下のようなメリットがあります。

  • 配管の取り外しが容易である
  • 配管の切断や溶接が不要である
  • 配管の材質や厚さに関係なく使用できる
  • 配管の熱膨張や振動に対応できる

しかし、ねじ込みにも以下のようなデメリットがあります。

  • 配管の内径が狭くなり、流量や圧力が低下する
  • 配管の方向や角度に制限がある
  • 配管の強度や耐圧性が低下する
  • 配管の密閉性や耐食性が低下する

 このように、ねじ込みは、配管の特性や用途に応じて、適切に選択する必要があります。では、ねじ込みの種類や設計方法について、詳しく見ていきましょう。

ねじ込みの種類

 ねじ込みには、大きく分けて、以下の3種類があります。

  • テーパねじ込み
  • パラレルねじ込み
  • ユニオンねじ込み

それぞれの特徴と適用例を表1に示します。

ねじ込みの種類 特徴 適用例
テーパねじ込み ねじ部の外径が先端に向かって細くなるテーパねじを用いる。ねじ部同士が嵌合することで密閉性を高める。 ガスや水道などの配管。バルブやフィッティングなどの部品。
パラレルねじ込み ねじ部の外径が一定のパラレルねじを用いる。ねじ部同士では密閉性が低いため、パッキンやシールテープなどを使用する。 油や空気などの配管。圧力計や温度計などの計器。
ユニオンねじ込み ねじ部の外径が一定のパラレルねじを用いる。ねじ部同士では密閉性が低いため、ユニオンと呼ばれる特殊な継手を使用する。 方向や角度の変更が必要な配管。取り外しや交換が頻繁な配管。

表1 ねじ込みの種類と特徴と適用例

ねじ込みの設計方法

ねじ込みの設計においては、以下の3点に注意する必要があります。

  • ねじ部の強度と耐圧性
  • ねじ部の密閉性と耐食性
  • ねじ部の締め付け力とトルク

それぞれのポイントについて、詳しく説明します。

ねじ部の強度と耐圧性

 ねじ込みにおいて、ねじ部の強度と耐圧性は、配管の安全性に直結する重要な要素です。ねじ部の強度と耐圧性を確保するためには、以下のことに注意する必要があります。

  • ねじ部の材質と規格を適切に選択する
  • ねじ部の寸法と公差を適切に設定する
  • ねじ部の応力と降伏条件を適切に評価する

 ねじ部の材質と規格については、配管の流体や温度、圧力などの条件に応じて、適切なものを選択する必要があります。一般的には、鋼製やステンレス製のねじ部が多く使用されますが、プラスチック製や複合材料製のねじ部も存在します。ねじ部の規格については、JIS規格やISO規格などに従って、ねじ山の形式や形状、サイズ、精度、強度などを決める必要があります。

 ねじ部の寸法と公差については、ねじ部の有効径や有効断面積などを適切に設定する必要があります。ねじ部の有効径とは、ねじ部の外径と内径の平均値で、ねじ部の強度や耐圧性に影響する重要なパラメータです。

ねじ部の密閉性と耐食性

 ねじ込みにおいて、ねじ部の密閉性と耐食性は、配管の漏れや腐食を防ぐために重要な要素です。ねじ部の密閉性と耐食性を確保するためには、以下のことに注意する必要があります。

  • ねじ部の表面処理や塗装を適切に行う
  • ねじ部の清掃や保守を適切に行う
  • ねじ部にパッキンやシールテープなどの密閉材を使用する

 ねじ部の表面処理や塗装については、ねじ部の材質や流体の種類や性質に応じて、適切なものを選択する必要があります。一般的には、亜鉛メッキやニッケルメッキなどの電気めっきや、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの塗装が行われます。

 ねじ部の清掃や保守については、ねじ部の汚れや錆びを定期的に除去し、ねじ部の状態を点検する必要があります。

 ねじ部にパッキンやシールテープなどの密閉材を使用することで、ねじ部の密閉性を高めることができます。

ねじ部の締め付け力とトルク

 ねじ込みにおいて、ねじ部の締め付け力とトルクは、ねじ部の強度や密閉性に影響する重要な要素です。ねじ部の締め付け力とトルクを適切に設定するためには、以下のことに注意する必要があります。

  • ねじ部の摩擦係数や弾性変形を考慮する
  • ねじ部の締め付け方法や順序を適切に決める
  • ねじ部の締め付けトルクや回転角を適切に測定する

 ねじ部の摩擦係数や弾性変形については、ねじ部の材質や表面処理、密閉材などによって変化します。摩擦係数や弾性変形が大きいと、締め付けトルクが増え、ねじ部の応力が高まります。摩擦係数や弾性変形を考慮するには、ねじ部の締め付け力やトルクの計算式や表を使用します。

 ねじ部の締め付け方法や順序については、ねじ部の数や配置に応じて、適切なものを決める必要があります。一般的には、ねじ部の中心から外側に向かって、対角線上にあるねじ部を交互に締め付ける方法が推奨されます。

 ねじ部の締め付けトルクや回転角については、ねじ部の締め付け力やトルクの計算式や表に基づいて、適切な値を測定する必要があります。測定には、トルクレンチやトルクメーターなどの専用の工具を使用します。

まとめ

 プラント設計におけるねじ込みは、簡単に取り付けや取り外しができるという利点がありますが、様々な要素を考慮する必要があります。この記事では、ねじ込みの種類や特徴、設計方法や注意点について、わかりやすく解説しました。ねじ込みに関する基礎知識や技能を学ぶには、参考書や資格がおすすめです。

 

  1. 『ねじ締結体の基礎知識』
  2. 『プラント配管ポケットブック』
  3. 機械・プラント製図技能士
  4. 管工事施工管理技士
  5. ねじ部の締め付け力やトルクの計算式や表
  6. ねじ部の締め付け方法や順序
  7. ねじ部の締め付けトルクや回転角の測定方法