MBRとは何か?水処理の革新的な技術をわかりやすく解説

 水処理といえば、標準活性汚泥法という方法が一般的ですが、近年、膜分離活性汚泥法MBR)という技術が注目されています。MBRとは、Membrane Bio Reactorの略で、曝気槽内に設置した膜で微生物と水を分離する方法です。この方法は、従来の水処理方法に比べて、多くのメリットがありますが、一方で、課題もあります。

この記事では、水処理のMBRについて、以下の4つの観点から解説します。

  • MBRの仕組みと種類
  • MBRのメリットとデメリット
  • MBRの導入事例
  • MBRの今後の展望

水処理のMBRに興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。

MBRの仕組みと種類

MBRの仕組みは、基本的には活性汚泥法と同じです。排水中の有機物を微生物に分解させるために、曝気槽で酸素を送り込みます。しかし、活性汚泥法では沈殿槽で微生物と水を分離しますが、MBRでは曝気槽内に設置した膜で分離します。膜は、孔径0.1~0.4μmの精密ろ過膜(MF膜)や孔径0.01~0.1μmの限外ろ過膜(UF膜)を使用します。これらの膜は、微生物や大腸菌などの微粒子を捕捉できるため、水に混入することはありません。また、膜は曝気槽内に設置されるため、曝気槽の汚泥濃度を高くできます。これにより、曝気槽の体積を小さくできます。

MBRには、大きく分けて2種類あります。一つは、曝気槽内に膜ユニットを浸漬させる浸漬型(サブマージド型)です。もう一つは、曝気槽とは別の槽に膜ユニットを設置し、ポンプで水を送り込む横流し型(サイドストリーム型)です。それぞれの特徴は以下の通りです。

型式 特徴 メリット デメリット
浸漬型 曝気槽内に膜ユニットを浸漬させる。 膜の汚染が少なく、洗浄頻度が低い。 膜の交換が手間がかかる。
横流し 曝気槽とは別の槽に膜ユニットを設置し、ポンプで水を送り込む。 膜の交換が容易。 ポンプの消費電力が高く、運転コストが高い。

MBRのメリットとデメリット

MBRは、従来の水処理方法に比べて、多くのメリットがありますが、一方で、課題もあります。ここでは、MBRのメリットとデメリットについて、それぞれ5つずつ紹介します。

MBRのメリット

  • 膜での分離が完全で、水に微生物が混入しない。SSや大腸菌などの除去率が高く、再利用や放流に適した水質になる。
  • 微生物の沈降性に関係なく、分離が可能。水質の変化に強く、安定した処理水質が得られる。
  • 曝気槽の汚泥濃度を高くできるため、曝気槽の設置面積を小さくできる。設備の省スペース化に貢献する。
  • 沈殿槽や汚泥濃縮槽が不要で、設備がシンプルになる。膜のろ過圧力と汚泥濃度の監視だけで良く、運転管理が容易になる。
  • 処理能力の拡張性が高い。水量や水質が増えた場合、膜ユニットを増設するだけで対応できる。

MBRのデメリット

  • 膜の汚染が起こりやすい。膜の表面に汚泥や有機物が付着すると、ろ過圧力が上昇し、処理能力が低下する。
  • 膜の洗浄が必要。膜の汚染を防ぐために、定期的に空気や水、薬品で洗浄する必要がある。洗浄には水や薬品の消費が伴う。
  • 膜の交換が必要。膜の性能が低下したり、損傷したりした場合、膜の交換が必要になる。膜の交換は手間がかかる。
  • 膜のコストが高い。膜は高価であり、初期投資やランニングコストが高くなる。膜の種類や形状によっては、入手が困難な場合もある。
  • 膜の選択が難しい。水質や水量に応じた最適な膜を選択することが重要であるが、膜の性能や特性についての情報が十分にない場合もある。

MBRの導入事例

MBRは、様々な産業や地域で水処理に利用されています。ここでは、MBRの導入事例を2つ紹介します。

食品工場の排水処理:有機物や油脂、窒素・リンなどの除去に効果的。

食品工場の排水は、有機物や油脂、窒素・リンなどの栄養塩が多く含まれており、水質基準を満たすためには高度な処理が必要です。MBRは、これらの汚染物質を効率的に除去できるだけでなく、処理水を再利用することも可能です。例えば、住友重機械エンバイロメント株式会社¹²は、MBRを用いて食品工場の排水を処理し、中水として工場内で再利用しています。このシステムでは、以下のようなメリットが得られています。

  • 処理水質が安定し、SSや大腸菌などの除去率が高い。
  • 処理水を工場内の洗浄や冷却などに再利用することで、水資源の節約とコスト削減に貢献する。
  • 設備の省スペース化と運転管理の容易化により、工場の生産性と効率性を向上させる。

下水処理場の高度処理

下水処理場では、一般的には生物処理と消毒処理を行っていますが、近年の水質環境の悪化や水不足の問題に対応するために、高度処理を行って再利用水として利用する場合が増えています。MBRは、下水処理場の高度処理に適した技術です。例えば、大阪市中浜下水処理場²⁴では、MBRを用いて下水を高度処理し、中水として公園の散水やトイレの洗浄などに利用しています。このシステムでは、以下のようなメリットが得られています。

  • 高度処理水として再利用可能な水質(SS10mg/L以下、BOD10mg/L以下、大腸菌100個/mL以下)を確保できる。
  • MBRの導入により、曝気槽の体積を約1/3に削減できる。
  • MBRの導入により、消毒処理の塩素消費量を約1/4に削減できる。

MBRの今後の展望

MBRは、水処理の分野で革新的な技術として注目されていますが、まだまだ改良の余地があります。膜の性能向上やコスト低減、洗浄方法の最適化など、研究開発が進められています。MBRの今後の展望は以下のようになります。

  • 膜の耐久性や透過性の向上により、膜の交換周期や洗浄頻度を延ばし、運転コストを低減する。
  • 膜の種類や形状の多様化により、水質や水量に応じた最適な膜を選択できる。
  • 膜の洗浄方法の改善により、洗浄効果を高め、洗浄に使用する水や薬品の量を減らす。
  • 膜の自己修復機能や自己洗浄機能を持たせることで、膜の寿命を延ばし、メンテナンスを簡素化する。

以上が、水処理のMBRについてのブログ記事でした。MBRは、水処理の分野で革新的な技術として注目されていますが、まだまだ改良の余地があります。MBRの今後の発展に期待しましょう。

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